公的医療保険の給付の種類~傷病手当金、出産や埋葬に対して~
医療保険について多くの方に知って頂くために、弊社のホームページでは「医療保険とは?」について複数回にわたり記事を記載します。
今回の内容
①傷病手当金
②出産に関する給付
③埋葬料(葬祭費)
①傷病手当金
傷病手当金は、業務外の理由で病気や怪我により仕事を休んでいる間、事業主からの給与がない場合に生活費を保障するための給付です。
【傷病手当金の対象となる場合】
会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、4日目以降、休んだ日に対して支給されます。
この3日間のことを「待期」と言います。
また業務外の理由の怪我や病気に対してです。(業務関連は労災保険対象になります。)
引用元:傷病手当金、全国健康保険協会 協会けんぽ
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat710/sb3160/sb3170/sbb31710/1950-271/
【支給される期間】
病気やけがで休んだ期間のうち、最初の3日を除き4日目から支給されます。
最長は1年6ヶ月です。
引用元:傷病手当金、全国健康保険協会 協会けんぽ
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat710/sb3160/sb3170/sbb31710/1950-271/
【傷病手当金の金額】
1日あたりの金額
【支給開始日以前12ヶ月の標準報酬月額を平均】÷30日×(2/3)
【国民健康保険の場合】
国民健康保険の場合は任意給付となっており、自治体ごとで給付するかどうかが違います。
基本的に国民健康保険からは傷病手当金の給付がない事が多いです。
もし休業をされている際はお住いの自治体に確認された方がいいです。
②出産に関する手当金
出産育児一時金
出産は病気や怪我ではないので、出産の際は全額自己負担となります。
ただ全額自己負担の金額に対して、負担を軽減するための給付が『出産育児一時金』です。
金額は1児につき50万円です。
(ただし、産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産した場合は48.8万円です。)
双子など複数の胎児の場合は人数分です。
【直接支払制度】
健康保険から直接、分娩に関する医療機関へ出産育児一時金を支払い、差額の自己負担分に関しては被保険者が医療機関の窓口で支払います。この事で自己負担の軽減となります。
【受取代理制度】
健康保険から医療機関に出産育児一時金を支払う点に関しては、直接支払制度と同様です。
ただ小規模の分娩施設の場合、直接支払制度では経営上の負担が多くなる事があるので受取代理制度を活用します。
受取代理制度の場合は出産予定日の2か月前から出産日までの間に加入する健康保険への申請手続きが必要となります。
【償還払い制度】
退院時に全額自己負担分を支払ってから、健康保険から給付してもらう方法も選べます。
出産手当金
出産手当金は、出産のために会社を休み(産前・産後休業)、事業主からの給与がない場合に健康保険から生活費を保障するための給付です。
【出産手当金の期間】
『出産予定日以前の42日間(多胎妊娠の場合は98日)から出産日の翌日以の後56日の範囲内の中で実際に休んでいた期間』です。出産の日は出産以前に含まれます。
もし、出産の予定日よりも後で出産した場合は、出産予定日と実際の出産の日までの期間分が延長されます。
ちなみに『産前休業』は事業主に対して自分から産前休業を申請するのに対して、『産後休業』は産後8週間は原則働かせてはいけないというのが法律で決められています。つまり期間に関しては出産前の期間が人によっては差が出てきます。
引用元:出産に関する給付、全国健康保険協会 協会けんぽ
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat710/sb3160/sb3170/sbb31712/1948-273/
【出産手当金の金額】
1日あたりの金額
【支給開始日以前12ヶ月の標準報酬月額を平均】÷30日×(2/3)
【国民健康保険の場合】
国民健康保険の場合は任意給付となっており、自治体ごとで給付するかどうかが違います。
基本的に国民健康保険からは出産手当金の給付がない事が多いです。
もし出産をされる際はお住いの自治体に確認された方がいいです。
③埋葬料(葬祭費)
埋葬料
健康保険に加入している被保険者、またその扶養者が死亡した際に、埋葬を行った家族へ支給されます。
金額は5万円です。
*死亡された方に家族がいない場合に、埋葬を行った方に対しては『埋葬費』として5万円が支給されます。
葬祭費
国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入している方が死亡した際に、埋葬を行った方に支給されます。
上記の埋葬料と違う点としては、金額が自治体によって変わる事(大体5万円程)です。
今回のまとめ
今回は『公的医療保険の給付の種類~傷病や出産の手当金・埋葬料~』について説明しました。
重要な点としては…
「傷病手当金は業務外の病気・怪我で仕事を休み、給与がない方に対して生活費の保障のために給付される」
「出産育児一時金は出産に対する費用に対して、基本は42万円の金額が給付される」
「出産手当金は、出産に対する産前・産後休業中に給与がない方に対して生活費の保障のために給付される」
「傷病手当金・出産手当金は健康保険で給付されるが、国民健康保険の場合は任意給付なため給付があるかは自治体によって異なる」
「死亡した方の埋葬を行った方に対して、健康保険からは埋葬料、国民健康保険・後期高齢者医療制度からは葬祭費が給付される」
という事です。
国民皆保険制度なので、生まれた時から公的医療保険があるのは当たり前と思ってらっしゃる方は多いでしょう。
今回の記事が皆様にとって、改めて公的医療保険について学ぶ機会になれば幸いです。
参考文献
『我が国の医療保険について、厚生労働省(下記URL)』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken01/index.htm
『出産に関する給付、全国健康保険協会 協会けんぽ(下記URL)』
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat710/sb3160/sb3170/sbb31712/1948-273/
『出産育児一時金、健康保険組合連合会 けんぽれん(下記URL)』
https://www.kenporen.com/health-insurance/shussan-ikuji/
『埋葬料、全国健康保険協会 協会けんぽ(下記URL)』
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat710/sb3160/sb3170/sbb31711/1956-20887/
『山田芳子 編著・米澤裕美 著、図解でわかる社会保険 一番最初に読む本 改訂4版、株式会社アニモ出版、2018年』
『吉田秀子 著、これだけは知っておきたい「労働基準法」の基本と常識【改訂版】、フォレスト出版株式会社、2017年』
『医療保険とは?』に関する他の記事
『医療保険の概要~公的医療保険制度を中心に~』
https://www.occasione.co.jp/2022-8-9/
『公的医療保険の給付の種類~病気や怪我の療養に対して~』
https://www.occasione.co.jp/2022-8-16/
『公的医療保険の自己負担軽減~ジェネリック、難病や子どもへの医療費助成制度~』
https://www.occasione.co.jp/2022-8-30/
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